先日、出雲に行きました(10) 植田正治と大山
阪神淡路大震災の年、世界的な写真家、植田正治さんの写真美術館が鳥取県伯耆町にオープンしました。このころは植田氏はご存命で、高齢にもかかわらず写真・カメラ雑誌を舞台に相変わらずの活躍をされていました。海外の写真好きの友人と話をすると、土門拳や木村伊兵衛よりも先に、この人の名が挙がることもよくありました。他の二人がレンズの描写力に非常にこだわった「空気感」や「マチュエール」に力点を置いた撮影法であるのに比べ、写真の書式から超越したというか、より一般芸術の表現を優先させたこの人の写真のスタイルには、若いときから魅了されてきました。それでいて無類のカメラ、レンズ好きであることは、本人のインタビューの記録からもうかがい知ることができて、とても人間的な感じがしたものです。
この美術館が建てられると聞いたとき、ぜひ行ったみたいものだ...と思い、楽しみにしていたときに、震災に遭い、生活・仕事両面でそれどころではない状況が続き、10年後にやっと職場旅行でバスを無理矢理のコースで駐めてもらい、一度見に行ったことがありました。なかなか落ち着かない見学でした。今回、友人のつっちゃんの運転で、静かな気持ちで訪れることができ、たいへん幸せな思いをいたしました。
前回は、雨の中の旅だったので、印象に残りませんでしたが、今回は晩秋の秋晴れの中、美しい大山を借景にした美術館の本来の姿をじっくり観ることができました。世界的建築家の高松伸氏の設計とのことですが、これほどまで一つの山との関係を追求した建築物は記憶にないというほどの印象が残りました。
日本の借景を取り入れる技法が、コンクリート打ちっぱなしのような建築の中に綺麗に納まっています。逆さに反射したり、スリット越しに見えたりと美しい大山が映えて素晴らしい光景です。
大山との関係は、建物との調和だけではありません。世界最大級のカメラレンズがある映像展示室でも、映像が華やかに観られます。
植田正治というと、鳥取砂丘の写真を思い出す方も多いことでしょう。鳥取も彼の一つの活動ゾーンですが、伯耆町、米子方面も活動の拠点であったようです。この地で、彼の作品を観ると、なぜか、いつも観て感心するよりもさらに熱いものが感じられてきます。写真も地産地消なのか(笑)。
ちょいと、そんな植田風のアレンジを入れて大山を撮ってみました(笑)
それにしても、大山は高校時代にスキーに行ったきりで、あまり存在を意識したことはなかったのですが、私の郷里の浅間山と同じで、とても存在感があります(浅間山より大きいか(笑))。さすが「大山」と呼ばれるだけのことはある。
【追記】この美術館は12月~2月は休館と聞いています。訪ねられるときには、危うい時期は電話で問い合わせをしてから行ってください。本当は雪の大山の借景が観たいのですが。
植田正治写真美術館 0859-39-8000 平常期は 火曜休館
さて、まだ色々と書くネタはあるのですが、神戸の日々の雑記がこのブログのテーマなので、これぐらいにしておきます。松江城も鳥取砂丘も行かなかった2泊3日の旅でしたが、出雲大社に行きたい...という声から始まって、色々なところに行けたのは、つっちゃんの運転のおかげでした。ありがたいことです。
ついでにと行ってはナンですが、この旅行のときに作ったメモ地図を下に置いておきます。ごく一部だけ行けたわけで、全部行けたわけではないのですが、これを観ながら、何処に行こうとか、土産は何にしようかと出発前からネットで相談をしました。中にはこの美術館のように載っていないところに行ったりしてますが(笑)
明日、この記事がアップされるときにうまくリンクされていればいいのですが。
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