君の名は。
巷の話題になっていた新海誠監督のアニメ映画「君の名は。」を初めて観ました。
一週間ほど前にレンタル解禁になっていたので、アマゾンでインターネットオンライン鑑賞。
話題になるだけに、それなりに面白かったというのが、まず一言の感想になります。
新海監督はずいぶん年代は違うものの、私とほぼ同郷。彼の卒業した高校は私の父親と同じ。大学も学部は違うものの私の後輩。
この近い距離感すなわち親近感もあってか、彼の前作「言の葉の庭」を観た時、非常に好ましい印象を受けました。
今回、この「君の名は。」を観て、ますます彼の作品に好感を持ちましたし、その気持ちの源についても思い当たるものがわかってきました。
私が彼の作品を好きなのは、どうやらストーリーの展開やキャラクターの魅力というアニメの主要要素ではないようです。もちろん、どの作品もそういった要素もそれぞれ魅力的ではありますが、私の心と共鳴したのは彼、監督の生活観の視点です。
東京の貧乏学生の体験(彼の家が裕福だったかどうかはわかりませんが)で、見えてくる視覚の記憶は、まず自分の暮らす住まい(部屋)のスペース、そして駅、電車、街のランドマークとなる交差点上の特徴的な建物。懐かしい同年代の友達。新海監督の作品は、どれもこれも、主人公の暮らす部屋の様子、街のこういった風景を「異常なほどの細密」といっていいほどの描写と象徴的な音場で表していきます。時代ははるか昔ですが、私の記憶の東京とほぼ同じ世界が、ずーっと新しくなったものの本質は変わらず、そこにある感じがしました。その中で広がる自然の環境の潤い。そんな世界に浸れるだけで私には非常に懐かしい、一瞬若さを取り戻したような心が広がった時間を楽しめました。横糸ばかり観ていて、本筋を見失うような鑑賞者でしたが、もちろんストーリー展開も決して平凡ではなく、十分楽しむことができました。
私の年代には、観終わってから、美味しい珈琲が飲みたくなるような映画だと思います。
0コメント